ORIENT オリエントスター レトログラード WZ0061DE のレビュー。

WZ0061DE というオリエントの機械式時計は、どこか知的な香りのする上品な腕時計である。

WZ0061DE
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この WZ0061DE は少し前に購入し、今まで試着のみで日常使用せずに保管していたもので、今週から実際に着用している。

国産の腕時計というと、セイコーやシチズンが有名だが、オリエントも国産メーカー。
セイコーやシチズンは中級機以下を中国等で組み立てていて裏を見ると MADE IN CINA とあるが、オリエントは純国産品で MADE IN JAPAN と刻印されている。
オリエントの腕時計は今のところ、これ一本しか所有していないが、かなり好きなメーカーである。



オリエント・・・このブランドは、職人気質な拘りがあり、他の時計ブランドと何か違うものを感じる。

時計に造詣が深いとは言えない人はオリエントを見下したりするようだが、小生に言わせると、オリエントを着けている人を見ると、高い物を身に着けているわけではないが、良い物を身に着けているという印象である。
解っている人だなぁと思う。
時計に関心のない人が一寸見ただけでは、どこのメーカーの腕時計か分からないのも何となくいい。

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純白ではないアイボリーの文字盤が素敵で、サファイアガラスが球面なのも小生の好み。
同価格帯のセイコーの球面ガラスは片側球面で、斜めから見ると文字盤が見えないが、この時計は両球面なので歪曲収差がなく、どんな角度からでも文字盤がよく見える。ガラスのコストダウンだけ見ても、セイコーとオリエントの企業姿勢が分かる。

形の良いグレーメッキを施した針は視認性に優れている。
時分と秒針の各針が少し短い感じもするが、実用で気になる程でもない。
39mm前後のケースサイズも理想的で、ケースサイズラグの斜面は彫刻刀で削り取ったような特徴のある造形をしている。
ブレスレットは微調整ができるので腕にジャストフィットし、適度な重さが心地良く装着感は素晴らしいと感じる。
腕に馴染み肌触りの良いメタルバンドだが、サテン処理が甘いのか構造上の問題なのか、下の写真で確認できるように、ラグ部分の折り返しに気にならない程度の浅い傷が付いてしまう。
白文字盤はメタルバンドだと少しぼやけた感じもするので、革ベルトにするのもいいだろう。

マイナスポイントは、オリエントに多い針の短さである。針がもう少し長くて長短針に夜光が無ければ、最高に好きな時計になり得るのだが。

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オリエントが約2年をかけて開発したというレトログラード・ムーブメントを搭載している。
扇状に配置された曜日を指し示す針が日曜日から月曜日に切り替わる際、振り子の動きで瞬時にスタート地点の月曜日に逆戻りするというもの。レトログラードとは逆戻りという意味。
機械式時計にはカレンダー変更禁止時間帯というものがあって、このレトログラードも22時から4時の間は変更しないようにしたい。
その他にも、デイデイト針とパワーリザーブを搭載している。
デイトは0時頃に一瞬で切り替わるが、曜日は1時前から動き出し切り替わるのに約50分を要する。
パワーリザーブ付きの「オリエントスター」は、時計好きのコレクターからも「逸品」との評価を受けている。


とても良心的なメーカーで、同価格帯ではセイコーを遥かに上回る品質だと思う。
比較的安価な機械式腕時計でこれ程高品質でコスパの高い製品は他になく、海外の高級腕時計と並べても決して見劣りしないと個人的には思う。

かなり大きいデイトジャストⅡと並べてみた。
ケースを含めない文字盤だけだと、オリエントの方が大きいのに気が付く。

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黒色の文字盤の腕時計もかっこ良くて好きだが、時計は白文字盤が一番良いのではないかと思う。
真っ白ではないアイボリーの文字盤は、クラシックテイストで上品で落ち着いた雰囲気を漂わす。
文字盤は2層構造と凝っており、なかなか高級感がある。
ペルラージュ・コート・ド・ジュネーブ仕上げの美しいシースルーバックも魅力で、オリエント渾身の作だと思う。

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キャリバーNo 40A50
22石自動巻(手巻可)
10気圧防水
両球面サファイアガラス(無反射コーティング)※両球面なのが素晴らしい。
シースルーバック
日付針・レトログラード式曜日表示・パワーリザーブ針
駆動時間:40時間以上(最大巻上げ時)
静的精度:日差+25秒~-15秒
ケースサイズ:46×39.5×13.1ミリ(縦×横×厚さ)
重さ:145g
ラグ幅:20mm
定価 84,000円(実売価格は6万円を切る)
発売日:2012/3/10

日差についてだが、カタログ値は日差+25秒~-15秒となっているが、小生の物は平置きではない24時間の半分以上着用の状態では、何と+-0秒で日差が全くない驚きの精度を出している。
同価格帯のセイコーのムーブメントは着用時と平置き時で大きく変化し精度が劣るが、オリエントは姿勢差の影響が少ないようで非常に優れたムーブメントである。
機械式であるのに目を疑いたくなる高精度で稼働しており、オリエントの技術力の高さに感心する。
尚、耐久性については不明なのでコメントできない。

スイス製機械式時計と並べても見劣りしないと思う。
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同じ様な機能を持つ国産製品に SEIKO PRESAGE SARD007 があるが、こちらは12万円以上する。
しかもオリエントに比べ安っぽい。
セイコーはやればできるのに、車のトヨタと同じで利益最優先で手を抜くメーカーである。
オリエントは安いのに職人気質で、セイコーのようなあざとさを感じない良心的メーカーだと思う。

SEIKO PRESAGE SARD007
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オリエントには高級機のロイヤルオリエントがあるが、値段が5倍程する。
質感が高く特に針の形状が良いが、価格差を考えると針の短さが気にならなければ(これが致命的かも)オリエントスター WZ0061DE で十分と思う。

ロイヤルオリエント レトログラード WE0021JD
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