野良猫と家猫では、どちらが幸せなのか・・・?
猫に聞いたわけではないが、家猫で不幸そうな顔をした猫を見たことがないので、家猫が幸せなのだろう。

ネット上でよく問われている問題だが、その理由をしっかり伝えている記事があまりないので、ここで家猫の方が幸せに決まっている理由を細かく書いてみようと思う。



猫科では大きなライオンから家猫まで色々種があるが、猫は、ネコ目(食肉目)- ネコ亜目- ネコ科- ネコ亜科- ネコ属- ヤマネコ種- イエネコ亜種に分類され、猫は「イエネコ」という種類で、昔から人の側で暮らして来た生き物で、決して「野生動物」ではない。
元来、猫は人間に頼って生きる家畜、現在は愛玩動物であり、野良猫であっても自分自身の力で食べ物を得て生きる「野生動物」とは根本的に違う。

「猫の室内飼いは可哀相」いう意見も根強くあるが、根拠なく解っていない人の思考停止した考えだと思う。
どこが“可哀相”なのだろううか・・・?
先ず、「猫は野生動物ではない」ことを理解しなければならない。この時点で勘違いしている人がいる。
インコや文鳥は、かごの中で飼う。大空を自由に飛べる能力があるのに、狭いかごの中では可哀相と言う声はあまり聞かない。狭いかごが可哀想と言って外に放しても、小鳥は楽しくもなければ、幸せでもない。かごの外は、過酷な世界で死を意味することになる。
狭いかごの中の小鳥や、狭い水槽の中の魚に比べれば、猫にとって家の中は広いとも言える。
犬を放し飼いにしていることもないだろう。
猫だけが可哀相という根拠は何もない。



ネコ科の動物は自分のテリトリー(縄張り)を作る習性がある。
縄張りの中には、敵に襲われない安全な住み処と餌となる獲物が確保できる事が必要になる。
猫の行動範囲は意外と狭くて、「もっと遠くにいきたい」という欲求を持っていないと思われる。
自分の縄張りに、安心して眠れる場所と充分な餌があれば、縄張りが狭くても猫は一向に構わない。
広い縄張りを必要とするネコ科の野生動物は、水や餌となる獲物が充分に確保できない環境下におかれる場合に限られる。
室内で猫を飼っていると、「狭くて猫が可哀想」と考えがちだが、猫には広いテリトリーを確保する欲求がないので、その心配は人間の思い込みに過ぎない。
猫は、敵のいない安心して暮らせる家の中で、充分な水と餌をもらえていれば、室内飼いに対する不満はない。
窓の外の鳥や虫などに反応はするが、それは本能的に動く物に興味を持っているだけであって、「外に出たい」というメッセージではない。

以上のように、猫はテリトリーを重視する生き物で、室内で飼っている場合のテリトリーは家の中。
わざわざテリトリー外の外に行かなくても、自分のテリトリーである「家の中」を守ることで満足なのだ。
家の中がテリトリーなら、そこに居続ける事が猫にとって幸せなのである。
猫が作る「縄張り」は安全で水や餌が豊かであれば狭くていい、即ち室内飼いで幸せということになる。

猫に限らず、人間を含む全ての動物にとって「自由に外を駆け回れる幸せ」と言うのは、生きるのに先ず絶対必要になる「餌」や「安全」が担保された後に来るもの。野良猫はそれが担保されないので不幸であろう。

更に、犬は上下関係を作る社会性のある生き物であるのに対し、猫は群れを作らず単独行動をする生き物なので、「1匹飼いで寂しいのでは・・?」などという心配も人間の勝手な思い込みに過ぎない。
猫は一日の内18時間は寝ているので、室内飼いに適したペットだと思う。ただ運動不足にならないように気を配る必要もあるが、実際ネコ科の生き物は無駄に運動をさせる必要もなく、カロリーの取り過ぎに注意すれば良いと思う。



「自由な野良猫は幸せそうだけど?」という意見もあるだろうが、それは猫の一生の内のほんの一部を見ているだけのこと。人知れず、命を落としていく野良猫の現実は非常に過酷なものである。
交通事故や病気、飢えや寒さ、カラスの襲撃で命を落とす危険を抱えている上に、テリトリー争いで怪我をしたり、人間に毒をまかれたり、虐待されたりすることもある。外にいるとウィルスに感染したり、ノミ・ダニ・寄生虫に蝕まれることになる。

子猫を拾うと親猫から離して可哀相と言う人もいるが、本来、集団を組まない猫はいつまでも親と一緒にいられるわけでもなく、早い内に親から子離れさせられる。そして、殆どが子猫のうちに命を落とすことになる。人間の手で保健所に持ち込まれ、殺処分される猫も多い。今飼っている元野良猫も乳離れ直後の子猫だったが、その兄弟姉妹は全く見ないので、生き残ったのは我が家に迷い込んだ1匹だけと思われる。

昨年の秋から野良猫を室内飼いしているが、夏までは庭で暮らしていたその子が、夏から秋の暴風雨の中、庭の隅で丸まっていた姿を思い出すと、野良暮らしは辛いだろうと思う。
身体に付いた雨を舐めて水分を補給したりもするが、野良猫にとって雨は厳しいものとなる。
猫は屋根がない環境下で雨に濡れることが多いと早死にする 。
猫は体毛が水に濡れることを嫌う。この性癖の理由は、猫の祖先が、昼と夜の寒暖差が激しい砂漠出身だからと言われる。濡れたまま寒い夜を迎えると、水分が蒸発する時の気化熱で体温を奪われてしまい、命取りになりかねない。
雨だけでなく、冬の寒さも夏の暑さも辛いし、きれいな水も飲めない野良猫の毎日は実に過酷である。
冬は寒さだけでなく、餌となる虫や小さな爬虫類もいないので飢えて死ぬ野良猫が多い。一方、家猫はコタツに入り餌も水も十分。どちらが幸せか議論する余地もないだろう。



以上のように、野良暮らしは厳しく、決して自由気ままなものではない。
本来イエネコ科である「野良猫」は単に「飼い主のいない、かわいそうな猫」であり、好きで野良をしているのではない。ただ「飼い主がいない」だけ。

野良の方が幸せと言う解っていない人達は、野良猫がお腹を空かせ、雨に打たれ、吹雪や猛暑に耐え、人に追われ、車に怯え、カラスに襲われ、どんなに過酷な毎日を過ごしているかを知らないのだろう。

猫は「本来飼われる生き物」であるので、野良猫というのは猫にとっては非常に不幸な状況であると結論する。