少し前に学生が「これって本当ですか?」と聞いて来たので、Yahoo!の画面中のトピックを開いたら、「2012年中にベテルギウスが超新星爆発を起こし、そのガンマ線バーストにより人類が絶滅する」と書いている人(占い師、或いはペテン師?)がいて驚いた。
驚いたのは、人類が滅びるからではなく、そのような根拠のない事をよく公の場で言えるなぁと驚いたのです。
ベテルギウスの超新星爆発と2012年というマヤ・カレンダーの年を重ねての終末論には苦笑せざるを得ないのですが、そのような科学的根拠の希薄な事を言う人がいると、それを信じる人もいるのでよくないですね。



小生も高校時代に天体観測を始めて、その頃からいつ爆発するんだろう、生きている間に見られるかなと思っていました。
ベテルギウスは赤い星。赤い星は老人星だから末期であるのは今に始まった事ではなく、古代ギリシャの時代も赤い老人星であったのは同じです。また質量が大きいので超新星爆発を起こすのも、確証はありませんが現代の天文学では周知のことですね。
因みに、さそり座のアンタレスもベテルギウスより近くにあり巨大な老人星です。

下の図で太陽は左下端の点、ベテルギウスがいかに大きいかが分かります。


超新星爆発とは、巨大な星がその一生を終え、最後に大爆発を起こす天体現象で、突然新しい星が生まれたように明るく光るので「超新星」と呼ばれている。しかし、それは星の誕生ではなく、死の瞬間のきらめきです。
ベテルギウスは現在急速に収縮中であり、ここ15年で大きさが15%縮んだという報告があります。また2010年には、NASAがベテルギウスの表面が変形している写真を公開しています。このようにベテルギウス爆発の前触れ?が観測されており、いつ超新星爆発が起ってもおかしくない状態なのは事実です。
ただ、小生は少々懐疑的で質量が大きい星が超新星爆発に至る蓋然率は高いのかもしれませんが、必至でなく例えばペテルギウスは大きくガス状で膨らんでいる風船のようなもので、現に観測で急速に縮んでいる事が確認されていますが、このまま冷えて単に小さくなるだけで爆発に至らない可能性もあると考えています。

藤原定家の「明月記」によれば、900年前の平安時代、数十日間だけ他のどの星より明るく光る天体が、「すばる」がきらめく牡牛座の星空に現れたそうです。巨大な星が超新星爆発と呼ばれる大爆発を起こしたのです。その爆発の跡は、現在「かに星雲」と呼ばれている。その残骸は、今でも輝き続けています。
記録に残されている銀河系内の超新星爆発は、過去に僅か3回あるのみです。
   1054年 明月記に記された新星(現在の牡牛座かに星雲でⅡ型超新星)
   1572年 チコの新星(Ⅰ型超新星)
   1604年 ケプラーの新星(Ⅰ型超新星)

写真は「かに星雲」

ベテルギウスが爆発したらどうなるのか。
星は膨らみ始め、2時間後に全天で太陽の次に明るい恒星「シリウス」と並ぶ明るさとなり、3時間後には 半月の明るさに到達。面積当たりでは半月の1千倍、満月の100倍のギラギラ度ですね。日本では冬場なら明るい夜が3カ月ほど続いて、その後は温度が下がるにつれて暗くなっていき、いずれは見えなくなってしまう。
オリオン座の勇壮な形が崩れるのは寂しいですね。


一説によると、超新星爆発を起こした星から25光年の範囲内は、そのエネルギーで全てが焼き尽くされるという。例えば地球から8.6光年しか離れていないシリウスが超新星爆発を起こすと、地球上の生命は確実に滅亡すると言われている。しかし、シリウスは上から2番目の画像の地球の右横にある星で、星の色からしてまだ若いのでその心配はないし、質量が小さいから今の天文学では超新星爆発はしないことになっている。

ベテルギウスは640光年先にあるので、地球に害を及ぼすとは考えにくい。指向性を持つと言われるガンマ線バーストの放出方向が地球と一致し狙い撃ちされた場合、遠い恒星の超新星爆発でも害が出る可能性は否定できませんが、そうそう一致するものではありません。
超新星爆発や極超新星爆発による星の放出するエネルギーは、距離の二乗に反比例して減少します。概算ですが計算してみると、地球に大きな影響をもたらすのは、超新星爆発で10パーセク(約33光年)、極超新星爆発で100パーセク(約330光年)くらいの距離以内と想定できます。それ以上の距離があれば、オゾン層や磁場に守られる大気圏内で人体に被害を与えることはほとんどないと推測できます。
オカルト信者の人は、ホピ族の予言にある『青い星のようなもの』がベテルギウスの超新星爆発であり、そのガンマ線バーストによって2012年に人類が滅びるとも言っていますが、その心配はまずないでしょう。

地球から見えるベテルギウスは640年前の姿なので、実際のベテルギウスはすでに爆発している可能性もあります。例えば300年前に爆発したとしたら、今から340年後に地球から見て初めて爆発が確認されることになります。アインシュタインの相対性理論により光の情報より早く届く情報がないからです。それはニュートリノも同じで直前にしか観測できません。
現在の天文学が正しく、ベテルギウスが近々爆発するのは間違いないと仮定しても、その近々と言うのは天文レベルの近々なので、およそ100万年以内と言われています。以内なので明日爆発するかもしれませんが。
いずれにしろ、超新星爆発で地球がダメージ(人類滅亡)を受けるのは、比較的近い所にある恒星の大爆発だけで、小生が調べた限りではその範囲に近い将来「Ⅱ型超新星爆発」を起こすような危ない星はありません。

ただ、現代の科学では宇宙の事は分からないことだらけです。「想定外」という事も有り得るかもしれませんね。