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この時計、友人が3ケ月ほど前に購入したものの、お気に召さなかったようで手放したいと言うので、気になっていた製品だったこともあり、購入価格の6000円引きで小生が買い取った物。
もっと値切れば良かった、笑。

友人は初めての機械式で、時間が狂うのが駄目だったようである。
そんな友人にはシチズンのソーラー電波時計にするよう薦めておいた。_the_most_beautiful_seiko__bra_1589798586_781916a7_progressive
さて、そんなことで小生が使うことになってしまった SZSB011 の感想は・・・

良いと思った点
・夜光のない極太のドーフィン針
・セイコーらしい端正なデザイン
・球面(カーブ)ガラス
・作りの良いアップライトのバーインデックス
・分針と秒針が長く、目盛りに十分以上届いている
・上品な文字盤の色
・視認性の良さ
・10気圧防水と耐磁JIS1種
・MADE IN JAPAN であること(最近の廉価版セイコーは中国で組み立てられている物が多い)
・機械式としては軽いこと
・ベルトのデザインがいい(疑似3連で、半駒がある)
・腕への座りがよく、装着感はかなり良い
・ラグの穴が貫通していてメンテナンスが楽
・スクリューバック
・シースルーバック
・4R35の巻き上げ効率が高い
・ケース・ベルト・ガラスに無駄なコーティングが施されていないこと
・時刻合わせの際、針のブレがない(分針と秒針を目盛りに正確に合わせることができる)
・ガラスから文字盤までの彫りが浅く、良い意味でのっぺり感がある
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ぱっと見ではグランドセイコーに見えてしまう全体的なデザインは秀逸である。
GS連想させるのは「セイコーデザイン」と呼ばれるデザインコードで、このデザインを好む人は多いようだ。ネガティブな表現をすれば昭和っぽいオヤジ時計となるのだろう。
外見は完全なプアマンズGSであり、ネット流通限定モデルでカタログに載せてはいないが、セイコーはヒットして多く売れると見込んで世に出した製品だと思う。知識のない人が見たらGSと同じように見えてしまい、相対的に高価なGSの価値が下がってしまうという理由で、カタログにも載せられないし売り場にも置けない。なので、ネット流通限定モデルという苦肉の策で世に出され、恰も隠し子のような製品である。
廉価版の4R35ムーブメント・ハードレックス風防にしては価格も強気で利益率は高いだろう。
ザ・セイコーと言えるようなデザインをGSの個性として定着させてしまったので、普及機にGSのような普遍的なデザインを使えなくなってしまったセイコーは、意図的にポイントを外した普及機ばかり世に出すようになった。ロレックス等と違い低価格から高価格まで揃えるブランドの悩ましい部分であろう。

ネットでは SARB033/035 の後継機として紹介されているが、どちらかと言うと、セイコー メカニカル SARB027 の後継機になるのではないかと思う。セイコーは、このようなGSに寄せたデザインの製品をなかなか出してくれないので、好きな人は生産中止になる前に入手しておいたほうがいいだろう。
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良くないと思った点
・セイコーの廉価版である4Rや6R系のムーブメントは不安定で調整も難しい
・風貌がサファイアではないので傷が付きやすい
・中途半端なリューズガードと、リューズとケースの間に隙間感があること
・6時位置の黒文字が3列あって煩く感じる(0時位置のSEIKOのロゴがシルバーなので黒文字が目立つ)
・ベルトのラグ幅は20ミリだが、バックル側が細くなっていて16ミリしかない
・ラグと弓カンの長さが揃っていない
・ベルトは無垢だが弓カンは無垢ではない
・支障はないが、バックルの6時側が浮く
・全体的に眺めるとダイヤルが大きいせいかバランスが悪い
・この文字盤はシミが浮き出るとの報告が多々見受けられる
・文字盤(ガラス内側)が湿気易いという報告も少なからずある。

ネットのレビューでは径が大きいことがマイナスポイントとして多く書かれている。もう1~2mm小さいほうが好みだが、大き過ぎるというほど大きくもなく、ぎりぎり許容できる大きさである。
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文字盤はメタリックな感じの色で控え目であるがサンレイが走る。色はグランドセイコー SBGV221 の文字盤と同じように見える。光源によって異なるし、何色なのかよく分からない色であるが、敢えて言えば、少しシルバーを感じさせるオフホワイトである。曇りの日の屋外では自分の好きなフラットなアイボリーに見える。
この文字盤の色は高級感・上質感・レトロ感・大人感を醸し出しており、見慣れると、なかなか良いなと思うようになった。
所有するのは白文字盤で良かったと思っているが、メタルブレスに白文字盤だとフェイスがややぼけて見える印象があるので、革ベルトが似合うかもしれない。メタルブレスだと文字盤が黒色の SZSB012 の方が、引き締まって精悍な感じ見えるだろう。しかし、この長短針は角度により黒っぽく見えることが多いので、黒文字盤は視認性が悪くなるかもしれない。IMG_1840
重心が低く腕に馴染み、着け心地が良い。


その他

・手巻きする時のリューズはかなり軽い。もう少し手応えがあった方が良い気もする。
・日付は23時過ぎた頃から動き始め、0時を過ぎて2~3分で次の日付となる。
・球面ガラスはW球面ではないので、斜めから見るとレンズのように見える。

ゼンマイの巻き上げについて
自分の場合は指でぐるっと1回すとリューズは約半回転する(20回で約10回転)。1回転で約1時間分の動力を得られるようだ。平置きで40時間動かそうと思えば約80回(40回転)リューズを回す必要がある。着用する場合は止まっている状態からだと、20~30回(10~15回転)リューズを回しておけば、後は自動巻きなので手巻きする必要はない。

セイコー メカニカル SZSB011
型式番号 4R35 - 03X0
ケース直径 39.9ミリリューズ及びリューズガード除く)
ケース厚 12.7ミリ
バンド幅 20ミリ(バックル部は16ミリ)
ムーブメント   4R35(日差+45 秒~-35秒、最大巻き上げ時41時間以上)  
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まとめ
サファイア風防ではないことから、素直に気に入ったと言えない微妙な印象の時計である。人によっては低品質な4Rや6Rのムーブメントに嫌気が差して手放したくなるだろう。価格については素材や性能を鑑みると割高である。見た目の良さとは裏腹に、セイコーのコスト意識が見え隠れし、手抜きが多く見られる。それでも売れるのはセイコーのブランド力が高いからだろう。同じ値段ならシチズンのほうがワンランク上、オリエントならツーランク上の製品を買うことができる。

これぞ腕時計というようなデザインは素晴らしい。時代や流行に左右されないセイコーのオーセンティックな王道デザインが好きな人は、一定の満足感を得られると思う。ケース径を少し小ぶりにし、サファイアガラスにし、リューズガードなしでねじ込みリューズにしたら名機となるだろう。
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参考:4R35の日差について
この時計は毎日20秒遅れる。
仕様の(日差+45 秒~-35秒)内であるが、遅れるのは気に入らないので、時間がある時に裏蓋を開けて調整したい。セイコーのムーブメントは気難しい上に、手元が狂ってテンプなどに少しでも触れたら簡単に壊れるので、調整には細心の注意を払う必要がある。
※後日、調整して約半日12時間の着用で+3~4秒、10時間程度の着用で±1秒で動くようにになった。

4Rと6Rの腕時計は過去に何本か使用したが、性能(精度)は変わらない。寧ろ上位の6Rのほうが不安定で突然大きく遅れたりすることがある。安定しているオリエントやETAのムーブメントではあり得ないような挙動をするのだ。4Rのほうがまだ扱いやすいと思う。また、4Rも6Rも直径が小さいことから姿勢差に弱く、温度やゼンマイの巻き量による歩度変化が大きい。不安定なムーブメントではあるが、上手く調整できた物だと、進んだり遅れたりしながら日差10秒以内で稼働する。因みに、4Rと6Rはゼンマイの持続時間を変えただけで、ほぼ同じムーブメントであり実際の精度は変わらない。ゼンマイを強くして持続時間を延ばした6Rのほうが耐久性に劣ると言われている。

4R35の調整方法
4R35の調整方法 その2

最後に、好みも個人差があるので一概に言えないが、この時計をお薦めかどうかと言うと、積極的にはお薦めしない。分かり難い表現をすると隙が多い時計である。隙が多い時計はその内に飽きて嫌になると思う。ただ、この手の時計は生産終了が早く、その後の人気が衰えないので値段は落ちないと思われ、もしかしたら高く売れる可能性もあるので買って損はしないだろう。

【追記】
良くないと思った点に「この文字盤はシミが浮き出るとの報告が多々見受けられる」と書いたが、後日この時計にも文字盤に薄いがそこそこ広くシミが浮き出てしまった。セイコーで文字盤を無料交換してくれたが、この機種独特の欠陥なのかもしれない。個体差もあるだろうが、長期的には殆どの個体で症状が出る可能性もある。保証期間が過ぎれば有料になるし、部品がなくなれば交換もできないという不安要素のある製品である。このトラブル発生率が高いとなると、クレームが増えて一番売れている白文字盤が先に生産中止になる可能性もある。黒文字盤ならシミが目立たないか気付かないかもしれないが、欠陥品であればどの色も在庫限りで追加生産はされないだろう。もし、再生産されたなら、この欠点は改良されていると期待できる。いずれにせよ、このシリーズはセイコーにしては珍しく不良品(欠陥品)の可能性があるので注意されたい。

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