個人的に腕時計で最も重要と思っているのは、着け心地の良さである。
その他に譲れないこととして、ケースやベルトにコーティングがされていないこと(されていると磨けないので)、素材がチタンでないこと(チタンは磨けないので)、ガラス表面に無反射コーティングがされていないこと(剥げてみすぼらしくなるので)、風防がサファイアであること(他の素材は傷だらけになる)がある。
以上の条件を満たした上で、後はデザインや色、機能で選ぶようにしている。

最近になって重要視するようになったのは、針の長さ(主に分針と秒針)。
これが短く、ミニッツインデックス(目盛り)に届いていないことで、視認性に劣る時計が意外と多い。
気にしだすと凄く気になる部分で、針の短さからくる不足感にフラストレーションを感じる。

自分が過去に所有していた、或いは現在所有している時計で見てみよう。
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上はオリエントのWZ0061DEで、レトログラードや球面ガラス、アイボリーの文字盤と、大変気に入っていたのだが、写真のように分針と秒針が短い。クォーツの時計は針が太かったり、厚かったり、長かったりすると電力消費が多くなり、電池切れが早くなるので設計上の意図は読めるのだが、これはトルクが十分な機械式である。にも拘らず、わざわざ短くしているのは理解し難く、気分が悪いので手放すことになった。
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上はシチズンのAT3004-58E でソーラー電波式の時計。クォーツであるが、分針と秒針が異様に短かすぎる。こんなに短いと視認性が悪いだけでなく、プアな印象になり、その足りない感のために何となく気分が悪くなってしまう。購入時はカッコいいなと気に入っていたが、針の短さと分針が15秒毎にしか動かないことが気持ち悪く感じ、嫌気が差して手放すことになった。
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上はセイコーのブライツSAGZ055でソーラー電波式であるが、微妙に分針と秒針が短い。あと少しで目盛りに届くのに、意図的に短くしているとしか思えない。GSではこういうことをしないのに、セイコーは下位モデルを恣意的に不完全にする傾向がある。これ位の長さがあれば何とか我慢できるレベルかもしれないが、やはり短いと思う。針が短いことだけでなく、ケース右上にある無駄に大きいボタンが嫌になったのと、微調整できないブレスレットが腕に合わなかったので手放した。

針を短くする理由として考えられるのは、電池の消耗を抑えること、クォーツはトルクが細いので軽くするため、コストダウンで他の時計の部品を流用している、エントリーモデルのデザインを意図的に崩して高級機に導くため、精度が低く針が目盛りに届くと、針と目盛りのずれが目立つので、等が考えられるが、やろうと思えばできるのに敢えて短くしていることに、目の肥えていないユーザーを嘗めているメーカーの姿勢が見て取れる。

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上の時計は30年前のシチズン製クォーツ時計で、針がしっかり目盛りに届いている。昔は真面目に作っていたのか、安価なモデルであっても基本に手を抜いていない。ガラスも球面サファイアが奢られていて良い時計なので現在も所有している。
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上は最近購入したオリエントのRN-AA0808Eで、針が「これでもか!」と言う位に長く作られている。
分針と秒針が目盛りの上を流れるのは見ていても気持ちが良く、視認性抜群で正に理想的と言える。
これも比較的安価な製品であるが、高級機でなくてもこの様に真面目に作ってほしいものだ。
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上はロレックスの116500LNデイトナで、針が十二分に長く、流石に手を抜いていない。針がケースの端まで届いていると、視認性の良さのみならず、視覚的に安定感があり美しいので気分よく使用できる。

今回は針の長さについての話であったが、こういったところにメーカーの姿勢が表れるし、真摯に作られた良い時計と、いい加減に作られたダメな時計の差が出るのだと思う。