数日前にメルセデス・ベンツの新型Cクラスが発表された。
26c0063_051
近年のメルセデスやBMWは最大市場の中国人に傾倒したデザインになっている。
初見ではカバかカピパラの顔を連想して失笑を禁じ得なかったが、慣れるとアンパンマンに出てきそうなキャラの顔付で可愛くも見えるようになった。

電動車なのでバカでかいグリルは塞がっていて機能はない。このグリルに拒否反応の声が出ているが、大昔のメルセデスは下のようなデザインだったので、メルセデスのアイデンティティと言えなくもない。
MERCEDES-BENZ-W108-280SE-1967_240515_17
ただ、このグリル、EV車なので冷却のための物理的機能はないが、中国人の好みを忖度して光るようになっていてデコレーション機能はある。日本的美意識からすると、ちょっと恥ずかしい感じがするし、他車の迷惑、光害になりそうである。中国の人には意味があるのかもしれないが、無駄な機能だと思う。
main_7e663f58a13697b7a6c8a9f1aa062aa0
後ろ姿はメルセデスの重厚さを垣間見ることはできず、エンブレムが無ければ、ふた昔前の安い国産車か中国車のようでもある。
mercedes-benz-c-class-ev-official_-15
前後のライトの星形はカッコ悪いと思う。これも中国人のブランド好きに忖度したデザイン。メルセデス・ベンツはこの星型デザインのライトを今後すべてのラインナップに採用する予定と表明している。
2e435c743206682d11b0706aea31bb18-600x400
インパネ・ダッシュボードは全面液晶で、これは運転に集中できないし、助手席の人には液晶ではなく風景を見てもらいたいと個人的には思う。指紋がべたべた付くし物理ボタンがないので操作し難そうであり、また電装の弱いメルセデスなので壊れたら色んな機能が使えなくなるだけでなく、修理代も高そうである。車内はアンビエントライトがあちこち光り、送風口まで光らせて、おまけに天井は無数の星が光るという。昔のラブホじゃあるまいし、デコレーションは下品で安っぽく感じる。かつてマーケティング主導を無視し「最善か無か」と豪語していたメルセデスは、時代の流れの中に何処かへ消えてしまったようである。
2026-Mercedes-Benz-C-Class-W520-15
因みに、EVの新型Cクラスには大きな欠点があり、後部座席の下に航続距離を稼ぐための大きな電池があることから、床が高くて座ると膝が高く上がり脚とシートに大きな隙間ができてしまう。上腿部がシートに接しないので後部座席の乗り心地は最低だろう。これはこの型式(EV車)特有の欠点で、後に出るであろう電動車でない型は改善されると思われる。

現在のメルセデス・ベンツの筆頭株主は中国の北京汽車集団で、二番目の大株主も中国の自動車メーカーであり、中国資本に経営をある程度握られている。元々ドイツBOSCH社製電装品の品質が悪く故障が多かったベンツだが、現在はバッテリーや制御ユニット等の主要な部品を中国に依存しているので、更に品質が落ちているそうだ。かつて世界の頂点に立つ憧れのブランドがデコトラよろしくあちこち光らせて、乗るのが恥ずかしいブランドになってしまったのが残念である。中国で金儲けしようとすると全てを奪い取られてしまう。

メルセデスの方向性は下のようなデザインとデコレーションになるのだろうか?
image-a92f6e8c-8622-46fb-9aae-4396782d4b26
特に日本では高級車といえばドイツ車という不文律があった。メルセデス・ベンツの重厚なステータス性は成功者のアイコンであり豊かさの象徴でもあった。しかし今となっては過去の話である。
日本人と中国人は好みの差こそあるがブランド好きでドイツ車が好きである。ところが車好きの多いアメリカ人は目が肥えていて、メルセデスやBMWは全然売れていない。

下は2024年の米国内の販売台数実績。
1
ドイツのメーカーは中国で売るしか生き残る道はないので、ドイツ車の中国車化に走らざるを得なかった。ドイツ車は中国ブランドになりかけているのが現状である。しかし、その中国で昨年あたりからドイツ車が売れなくなっている。あまりにドイツ車が増えたことでブランドの優越感がなくなったのと、中国車が実用に耐えるレベルになり、見かけ上はメルセデスに劣らない国産高級車が格安で買えるのでドイツ車離れが起こっているらしい。

BMWはどうだろうか?
下は現行の最高級車である7シリーズで、これもデカい豚の鼻みたいなグリルが光るようになっている。
bmw
販売店で実物を見せてもらったが、こんなデザインにされた車が可哀そうというのが正直な感想。
フラッグシップはもっとオーセンティックなデザインにしてほしいと個人的には思う。
目立つデザインの顔が中国のマーケティングで有利とされ、中国人にウケが良い押しの強いデザインになったそうである。
最近、BMWのデザイン責任者が変わり、流石にデザインの迷走に危機感を覚えたようで、今後はシンプルでミニマルなデザインに回帰すると言っていた。そんなことで最近発表された新しいデザインは下で、1960年代頃のデザインに似た、小さな縦長のキドニーグリルになっている。
BMW-iX3
グリルが小さくはなっても、やはり光っている。キドニーグリルに自ら縛られ続けるBMW、トヨタもハンマーヘッドはプリウスだけにして、他の車種への波及は早々に止めたほうがいいと思う。

メルセデス・ベンツの通期決算は、最大市場である中国での販売不振で大幅な減益を記録している。ポルシェは中国への投資に見合う販売台数を得られず経営危機に陥っている。各社共、中国向けのEVに走り、コスト削減のために中国製部品の採用を拡大した結果、ブランドの根幹であった信頼性が揺らぎ、具体的な故障率の比較でもその差は歴然としている。米コンシューマー・レポートの2025年版信頼性調査では、1位のトヨタや2位のレクサス(これもトヨタ)に対し、メルセデスは最下位に近い19位と大きく水をあけられている。

タイトルなし
こうした欧州車の凋落は、全ラインナップを早期にEVへ転換し、内燃機関を持つトヨタのハイブリッド車を販売できないようにするトヨタ潰しが目的であった。この戦略はEV車の技術とインフラの遅れ、欧州におけるEV販売の失速と、巨大マーケットである中国で中国車のBYD等の急成長により完全に行き詰まり、稚拙な戦略がブーメランになってしまった。この大失敗を受け欧州メーカーは、2030年までに完全EV化という目標をあっさり撤回することになった。当時、欧州の動きに対し日本国内では、トヨタは欧州に遅れていて世界に取り残される、と散々言われたが、そこは昔から石橋を叩いて渡る社風のトヨタである。トヨタの戦略と経営判断は現時点では正しかったと言える。2025年度のトヨタが世界一の販売数を記録しているのがその証左であろう。時代の流れと変化の中で中国車に席巻される時代が来るやもしれないが、欧州車はともかく日本の自動車メーカーには頑張ってほしいものである。
腕時計も然りで、将来、中国車に乗り中国時計を着けている自分を想像したくない。

中国の都市を見ると資源の無駄遣いを感じる、現地の人は豊かさを味わっているのだろうか。
sha_img_k13_01
美しいと言えば美しいが、照明が派手になればなるほど二流三流の都市に見える。ヨーロッパの中世を偲ばせる厳かな街並みのほうが好きだ。

マンションまで光らせる中国。
h
こういう風土の国なので自動車のグリルが無駄に光るのも頷ける。
何処よりも厳かだったドイツの自動車メーカーが、中国に媚びる時代が来るとはね、お金のために伝統と哲学を捨てたブランドの黄昏を感じる。
日本の自動車がそうならないように願うばかりだ。