2024年11月にセイコーセレクションSシリーズからセイコーらしい王道フォルムの製品が発売される。
Sシリーズはセイコーユーザーの声を反映して開発するリーズナブルでハイコスパな時計とメーカーは定義している。近年、セイコーは明らかに良い製品を作るようになった。一例では文字盤にSEIKOのロゴ以外に無駄な文字を入れない等がある。ユーザーの声を反映すればユーザーの満足度が上がり、メーカーも売上が伸びるというシナジー効果がある。

エレガントで上品、クラシカルな味わいのSEIKO SBTH007、GSのような洗練されたデザインを持つ。
腕時計歴の浅い人には昭和チックな古臭いオヤジ時計に見えるかもしれないが、時計通の人の目には魅力的に映るに相違ない。 
SBTH007
実勢価格の24,640円は小生が考える電池式クオーツ腕時計の理想価格である。この価格帯でここまで高級感のある製品をリリースしたことは快挙だと思う。以前のセイコーはこの価格帯のみならず、グランドセイコー以外でセイコーらしいデザインの製品を作りたがらなかった。それは利益率の高いGSを売るためで、他の製品のデザインを意図的に崩す傾向があった。なので、安価な製品でもデザインだけはGSのような時計を作れるのに敢えて作らなかった。しかし、最近のセイコーの戦略は変わったようだ。この新製品がその証左であろう。
SBTH007dr
カラーバリエーションは5種あって、どのカラーも良さそうだ。現在所有する腕時計はブラックやネイビーが目立つので、シャンパンゴールドを購入しようと思う。腕時計を沢山種有しているので今すぐ必要でもないのだが、セイコーがあまりにも好みにドンピシャの製品を出してきたので、購入予約をして入手しようかなと考えている。後で記述する懸念材料がなければ、期間を開けて色違いも買うかもしれない。

2年前に発売された同じくSシリーズのSBPX147を自分の理想に近い時計と書いてきたが、今回発売されるSBTHは、SBPXにはなかった曜日表示と風防の内面無反射コーティング施されたから、より自分の理想に近い腕時計になった。この価格帯でサファイアクリスタルに内面無反射コーティングが施された製品は貴重だ。

ネイビーのSBTH009が一番美しいかもしれない。
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ムーブメントが6N系であるという懸念もある。SBPXがMADE IN JAPAN で石数2個なのに対し、SBTHはMOVEMENT JAPAN のCASED IN CHINA で石数0個になってしまった。石数については後述するが、このムーブメントは日本製だが組み立ては中国というのが問題で、殆どの個体で秒針と目盛りにズレがあると思う。本来こういうズレは針ズレとは言わず、秒針の指示誤差と表現される。バックラッシュによる部分的に僅かなズレが生じるのとは異なり、いい加減なな針の組付けにより全域でズレる。この時計の唯一の目立つ短所であると予想するが、ズレの程度は実物を買ってみるまでは分からない。
全く問題にはならないが、某国組み立てのものは裏蓋も正立していない(文字が傾いている)ことが多く、いかに大雑把に組み立てているかが伺える。そんなことから秒針の組付けもアバウトなんだろう。
因みに秒針のズレは技術のある時計屋さんで分解して組付け直してもらえるらしいが、余計な手間と出費が発生することになる。
※実際に秒針と目盛り(ミニッツマーカー)にズレがあるかは現時点で分からないが、自分の経験から海外で組み立てられる6N系は、70%位の確率で看過できないズレがあると予想している。

針やインデックス等が金色のSBTH015は高級感がある。
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石数について
機械式時計は多くの金属でできた歯車があり、摩耗対策として軸受けに石(ルビー等)が使われている。SBPX147には2個の石が使われているが、SBTHは石が0個である。クォーツ時計のステップモーターのトルクは非常に弱いため、歯車を軽量化する必要があり、大半のクォーツムーブメントの歯車は樹脂製(ポリアセタール=POM)で作られている。POMは金属のように錆びることがなく、金属と同じくらいに疲労特性に優れているのでクオーツ時計に多く採用されている。そのような軽い歯車を使用していることから必ずしも石は必要ではない。石がないと理論的には時計の寿命が短くなるが、顕著に短命になるわけでもないので、安価な時計の場合は気にしなくても良いだろう。
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現時点でSBTHの情報は少ないが、上の写真を見ると、ケースは縦筋目と鏡面(ポリッシュ)で分けられ高級感を演出できている。ラグと弓カンは分離できて革ベルトに交換もできる。セイコーが手を抜きまくっていた時代に発売されたブライツSAGZ083は、弓カンがあるように見せかけて実は一体型であった。ユーザーを軽く見ていた頃に比べると、最近のセイコーは本当に良くなった。
下の写真をみると耐磁1種の機能もある。リューズもGSのように少しケースに埋もれるようになっており大きさと形状も良い。
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防水は10気圧で耐磁あり、風防は内面無反射コーティング付きサファイアクリスタル、弓カンは無垢ではないが、コマは無垢(疑似無垢?)、カン幅20mm、ケース幅がやや小径の37.4mm、厚さは8.4mmと理想的な腕時計だと思う。ケースやベルトに無駄なダイヤシールドは施されていない。

左から2015年発売のSBPX083、2022年発売のSBPX147、2024年発売のSBTH011
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左の2つのSBPXはソーラー式で右のSBTHは電池式である。ケース(ラグ)形状はSBTHが一番いいと思う。SBTHのケースとラグは大きさと材質は違うが、小生が所有しているSBTM339と同じ形状で高級感がある。デイデイトの文字も大きさと書体が変わり視認性と見た目も良くなっている。長針は目盛りに届いている。右の2機種は針が同じように見え、1モーターのクォーツ式としては極太のドーフィン針を持つ。ベゼル(風防周辺の縁)の形状はよりフラットになり、角に短い傾斜を付けられて美しくなった。SBPX147の目盛りのあるチャプターリングはなくなり、GSのような金属の垂直型リングになっている。SEIKOのロゴは少し小さく細くなっている。
SBTHは細かい部分にも拘り手を抜かずデザインされており、少なくとも外観は完璧に近いと思う。勿論、価格が価格なのでベルトの疑似3連とか、振ったら音がするとか文句を言ってはいけない。

SBTHは電池交換式であるので文字盤が金属製であり、更に内面無反射コーティングが施されているので、左2つのSBPXに比べ文字盤は比較にならないくらいに美しいだろう。

ディスク式のデイデイトには枠があり丁寧に作られている。針やインデックスの造形に手抜きがない。
気になるほどではないが、秒針と目盛りの間が少しだけ大きいかなと思う。
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SBTHがいいと思う一番の理由はデイデイトが付いていること。初めて親に買ってもらった腕時計がセイコーの2万円台のクォーツで、ドーフィン針、デイデイトだったので、小生のスタンダートはここにあり、という感じである。曜日を漢字表記にして使いたい。デイデイト部が白地であるのも良い。機械式は起動時の修正が面倒なのでノーデイトでも良いが、クォーツ式は曜日に月末のズレがないのでデイトのみよりデイデイトが良い。

さて、小生はこのブログでクォーツはソーラー(電波式も含む)に限ると何度も書いてきた。10本以上の腕時計をローテーションしているので、特定の1本を使う期間が短く、あまり使わない内に電池切れになるのが嫌なだけで、電池交換式の腕時計自体が嫌いなわけではない。
長年の使用では電池交換式のほうが維持費がかからない。SBTHの電池寿命は一般的な3年で12年で4回の電池交換が必要になる。自分で交換すれば安いボタン電池代だけで済む。スクリューバックなので作業も簡単だ。
ソーラー式は二次電池の寿命となる10~15年程度で使い捨てるのに適しているが、数年前から二次電池の入手が困難になっていいて、メーカーではオーバーホールとセットになり高額な出費になる。クォーツといえども15年も使ったらオーバーホールしたほうが良いが、安く済ませたい場合は、オーバーホールなしの二次電池交換のみで5~6千円の専門業者もある。
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SBTH007
キャリバー 6N53 電池式クォーツ 電池寿命約3年
防水 10気圧
ケースサイズ 横37.4㎜ 厚さ8.40mm ベルト幅20mm
耐磁 1種
サファイアクリスタル 内面無反射コーティング

石数0個と中国組み立てのネガティブ(針を目盛りにズレがある可能性高い)という気になる点があり、SBPX147のように名機とは言えないかもしれないが、内面無反射コーティングやケース形状と大きさ、デイデイト等、SBPX147にない魅力的な要素もあり、かなりのヒット商品になると思う。
セイコーはGS以外のデザインを崩していたために、GS以外はセイコーらしくない時計ばかりになり商業的に失敗していたと思う。シチズンがこのような製品を出したら、継子を抱いているような感じがするだろうが、セイコーが安価な製品にもセイコーらしいトラディショナルなデザインを採用すると、世界にライバルがいない素晴らしい時計になる。

最近流行りの薄いブルーの文字盤を持つSBTH013。
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グランドセイコーやロレックスも所有しているが、価格程の価値はないというのが正直な感想である。
ブログで何度も書いているように、3針のクォーツ時計は2万円台が相場であり、その価格帯で上質な製品を探して所有するのが賢いと思う。シチズンに対し技術や開発資金で敵わないセイコーであるが、一方で腕時計の基本やデザインの質をよく解っている屈指のメーカーである。最近のセイコーはそのようなブランドの個性をセイコーセレクションSシリーズで具現化している。全体的に腕時計が値上がりする中で、昭和の時代のクォーツ時計と変わらない価格で、他社が真似のできないオーセンティックな製品を出してくるセイコーは、ボッタくり感のあるメーカーである一方で良心的なメーカーである側面を持つ。

SBTH007のシリーズは買いか?
セイコー好き、特にデイデイト好きの人は絶対に買い!だろう。ただ、秒針とマーカーのズレが気になる時計通の人は、レビューを待ってからにしたほうが無難かもしれない。小生はズレが気になるものの、それ以上の魅力があるし安価なのでレビューを待たず購入するつもりである。