セイコーの機械式ムーブメントは、過去に4R35B、6R15Cを使った経験があり、現在は5625Bを所有している。
平置きで進み着用で遅れる特性が共通しているが、4R35Bを調整した時に逆の傾向になったこともあった。

4R35B 23石6振動
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SEIKOの廉価版ムーブメントで数万円までの製品に積まれているムーブメント。

6R15C 23石6振動
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公表されている6Rの精度は4Rより高くなっているが、実際はパワーリザーブが長くなっただけで精度は変わらない。寧ろ4Rのほうが比較的安定している印象である。

4Rと6Rは6振動で、特性は姿勢差が激しくて、夜間に平置きして朝に確認すると思い切り進んでいたり、着用中に大きく遅れたりと、フラフラして不安定なムーブメントである。ただ平置きと着用で逆方向のズレになり相殺されるので、調整が上手くできれば結果的に日差が10秒以内に落ち着いたりする。
機械式は日差があるからこそ楽しいので、4Rや6Rはこれでいいと思う。ただ、遅れる方向に大きくズレるのは気分が悪いので、できれば進む方向に調整しておきたい。

緩急針の調整
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4Rと6Rには歩度調整のネジがなく、緩急針を直接動かして調整しなければならない。緩急針はヒゲゼンマイの長さを変えるもので、ヒゲ持ちはテンプの振り幅を調整するもの。因みに、ヒゲ持ちは素人が触るにはハードルが高いので、歩度調整は緩急針で調整するのが鉄則。しかし、緩急針は振動で動かないように強い摩擦力で固定されているので、緩急針のレバー(ヒゲ棒)で微調整するのもそれなりに難しい作業となる。手元が滑ってヒゲゼンマイに少しでも触れると簡単に壊れてしまう。オリエントは比較的強く壊れにくいが、セイコーは脆弱なので調整には細心の注意を要する。
尚、遅れが大きい場合は、上の図でヒゲ棒先端に四角い部品があるが、これを反時計方向に回すことでアオリ量が調整され進む方向に変えることができる。その時にヒゲ持ち自体は動かさないよう注意する。

5625B 25石8振動
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キングセイコーには緩急針の微調整ネジが付いているので、素人でも簡単に歩度調整ができる。
このムーブメントも平置きで進み着用で遅れるのは4Rや6Rと同じ。但し、そこは高級機のクロノメーターらしく、4Rや6Rのように数十秒もズレることはなく、この個体の現状で夜間に平置きする時間により2~3秒進み、着用時も着用する時間により2~3秒遅れ、プラスマイナスでほぼ日差が生じない。平置きと着用が12時間でそれぞれ3秒程のズレになるので、平置きが12時間より長いと日差が約+1~2秒になり、着用が12時間より長いと約-1~2秒になり、平置きと着用が12時間で均等になると日差が相殺され約0秒になる。
平日だと12時間サイクルで進みと遅れがそれぞれを打ち消し理想的な日差を維持できるが、土日などに外出せずに平置きの時間が長くなると進み具合が大きくなる。そんな場合はリューズを下にして置いておくと進まないようだ。
24時間の静止精度は+6秒、動態精度は-6秒になると思うが、ゼンマイの解け具合も影響するだろうし、動態精度のほうは活動状況や気温・体温により変化すると思う。

サブマリーナの歩度は安定しているが・・・
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ロレックスのように姿勢差に強く日差が+1秒で安定しているものは、単純計算で一カ月で+30秒になる。
実際に一カ月に亘って同じ腕時計を着用することはないので、あまり意味のない話ではあるが、プラスとマイナスで相殺効果を発揮するセイコーのムーブメントは、着用時間の割合を上手く調整することで 一カ月後も少ないズレで済み、秒針を止めて時間を合わせる必要がない可能性もある。
プラスにもマイナスにも振れる不安定なセイコーのムーブメントが嫌いだったが、結果的に日差が少なく済む特性は使えるなと思うようになった。

キングセイコーの5625Bはハイビートなので、外乱の影響は6振動の4R・6Rより受けにくい。
半世紀も前のムーブメントであるが、現在の普及機より精度が高く安定している。
セイコーは1970年代半ばから約20年間、機械式の国内製造を中断していたこともあり、2000年代になっても技術は当時から進歩していないようだ。
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このキングセイコーは5日経った時点で+2秒で動いていた。ということは平均日差は+0.4秒になる。上に書いたように毎日+0.4秒の積算ではなく、プラスマイナスで相殺された結果である。姿勢差を上手く利用できればクォーツ並みの月差で使うこともできそうである。
平置き(静止精度)と着用(動態精度)でプラスとマイナスが逆になるのは不安定なようで、実に使い勝手が良く実用的だと思う。このような特性があると日差そのものを楽しめるので、機械式好きにとっては趣味性の高いムーブメントである。

上で23石や25石とか書いたが、一般的に3針では実質的に意味のある石数は17~21程度と言われている。この石は人工ルビーなどで、この石がないと時計は精度が出ないだけでなく長持ちせず壊れることになる。

今回、キングセイコーを入手して、約半世紀前の工業製品が現代のもの以上に高精度で稼働することに驚いた。一般的には良いものは値段が高いのが当然だが、良いものなのに案外安いのがキングセイコーで、このコスパの高さが小生の好みに合致する。また、GSのように皆が憧れて使う時計はあまり着用したくないので、自分にはマイナーなKSがちょうど嗜好に合う。そして、キングという名前も何となく好きである。

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